産婦人科フクロウ blog 〜PhDからプロの研究者を目指して〜人のまねをせずに、その身に応じ、武器は自分の使いやすいものでなければならぬ

基礎の発生学、細胞物理学について勉強したことを載せていきます。古武道鍛錬中。GitHub;hidem1990

HPVと膣細菌叢

HPVのワクチンは子宮頸癌の予防に有効なのは有名な話。しかし、副作用で日本では使用が少ないのは残念なこと。

HPVの感染と膣細菌叢のバランス不全(つまり、細菌性膣症)が関係あるのではないの?という研究

 

*********今回の論文************

Vaginal dysbiosis and the risk of human papillomavirus and cervical cancer: systematic review and meta-analysis

American Journal of Obstetrics & Gynecology JULY 2019

 

  • 膣における細菌叢のバランス不全はHPV感染、持続感染、dysplasiaの形成に関連がある可能性がある。
  • 子宮頸がんはhigh income countriesにおいては予防できる癌になっている。大部分の女性は少なくとも1回は1つ異常のHPVに感染を経験することとなる。しかし、その感染が前癌病変や浸潤癌にまで至るまでの持続感染を示すかどうかは各個人に依っている。
  • このことから、HPV以外になにか因子があるのではないかと考えられている。その一つとして膣のdysbiosisが可能性として考えられている。
  • HPVに感染リスクとしてはSTIと同じではあるが、HPVに対する感受性や易感染性についての、遺伝的背景、ホルモンバランス、粘膜表面の細菌叢、粘膜免疫などといったことに対する理解は得られていない。
    • Lancet Infect Dis.2010 Dec;10(12):862-74. doi: 10.1016/S1473-3099(10)70190-0. Epub 2010 Nov 11.
    • Factors affecting transmission of mucosal human papillomavirus.

 

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細菌性膣症はHPV罹患率を1.3倍あげる

 

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細菌性膣症はHPVの持続感染を引き起こす??1.14倍ってどうよ

 

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dysplasiaが進行しやすいのか。。

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しかし、dysbiosisがなければ予後がいいのか?完全にいいというには結果に乏しい印象がありますな。

また、dysbiosisを改善したら、HPVの感染状態が改善するのか?細胞診も改善するか

フラジール投与してみるか。。

 

まぁ、でも細菌性膣症は百害あって一利なしなので治療するに越したことはない

膣細菌叢バランス異常はHIVをはじめとするSTIのリスク、PIDのリスク、早産のリスクを上昇させる。

Res Microbiol. 2017 Nov - Dec;168(9-10):859-864. doi: 10.1016/j.resmic.2017.02.003. Epub 2017 Mar 1.

The global health impact of vaginal dysbiosis.